MALICE MIZERとの出逢い


【1998年3月】
中学校卒業式後のカラオケ帰りのこと。
何気なく立ち寄った薬局でかかっていた有線の曲に友達2人が悲鳴をあげて大はしゃぎ。
当時メディアへの露出が急増し、人気急上昇中の『月下の夜想曲』だった。
これが初めてMALICE MIZERに触れた瞬間。
この先長いことのめりこむことになるというのにこの時点では好感度はなく
Gacktの歌声が不気味と感じて、友人たちを悪趣味と罵り白い目で見ていた私。
ビジュアル系という世界も知らなかった。

【1998年5月】
TVっ子だった当時、Mステという王道な入口からhide with Spread Beaverに惚れ
訃報のショックから初めて音楽雑誌に手を出した。
どの雑誌でも大々的に追悼特集が組まれ、泣きながら色んな雑誌を買った。
情報量が少なく、時間もあった当時。
お目当て以外のページも興味深く読んでいた中でMALICE MIZERも載っていた。
初めての武道館公演を行った感想を語るメンバーの言葉。

「思ったより小さかったですね」
「やり終えたら自信になるかと思ったけど、ただの通過点に過ぎなかったなって」

はて?
ミュージシャンにとって憧れの大舞台とされる武道館に何を言っているのだ。
今思えばその強気な発言こそがマリスの醍醐味で
行動力と結果が伴う彼等の勢いに相応しい自信だが
初めて知る本人たちの発言として好印象など抱けるわけがなかった。
なんて偉そうなんだ!
有線の声の主だとは結びついていなかったが、どちらにしてもファンになる要素ゼロ。

しかし人気絶頂期である彼等はメディアに引っ張りだこの時代。
自ら情報を探しに行かなくてもTVのリモコン1つで目にすることが出来た。
新聞のテレビ欄に見つけたマリスミゼルの文字に何故か目を引かれる。
不愉快な発言をしていた人たちだという認識しかないのに
何の気の迷いか、見たいと思った。
そう、この気の迷いこそが私の人生を大きく変えてしまうのだ。

それはハンマープライスだった。
カプセルから登場したmerveilles衣装の5人の圧倒的迫力に我を忘れて大興奮。
近くにいた親に「ちょっと!すごいすごい!見てこれ!」と大騒ぎして、視線は画面に釘付け。
雑誌で感じたような高飛車な雰囲気は確かにそこにも感じたものの
雰囲気を崩さずに笑いをとろうとするキャラが面白かった。
小さい頃からお姫様に強く憧れていた私は一目で青いドレス姿のMana様に憧れ
紹介されて知れば知るほど夢中になって
その不思議な世界に引き込まれていったのである。
そしてラストの晩餐風景で「曲は勿論、月下の夜想曲」と流れた瞬間
ようやく不気味な歌と繋がった。

非現実的な幻想世界が与えたインパクトはあまりに大きくて
「もっと知りたい!」という気持ちが強く存在していた。
番組終了と共に興奮しながら手元の雑誌を読み返した。
…が、顔と名前が一致しないどころか名前が読めない(笑)。
「女装してるのがMana様っていうので、髪長いのがKamiで…えーとG…なんて読むの?」
白塗りで髪の短い2人は長いこと判別に苦しんだ思い出(笑)。
知りたくても簡単には答えをくれない彼等に悪戦苦闘し
理解したいと追求するスタイルはここから始まった。

薬局で騒いでいた子たちに尋ねても音源は持っておらず
聴きたい意欲はあれど、バイトもしてなかった高校生にとってシングル1枚のお値段はなかなか勇気が要るもの。
雑誌は悲しみの衝動で買い漁ったものの、不透明な好奇心に使うお金は出せず。
TSUTAYAも遠く、もう1度聴きたい想いだけが募っていった。

【1998年6月】
高校1年生の春の遠足。

誰かが持ってきたカセットテープをBGMにするバスの中で『月下の夜想曲』が流れた。
感動しかけるも、テープの持ち主は慌てて再生を止めて汚点を隠すように間違いだと否定し
周りもかつての私のように「こんなの聴くの?キモーイ!」と冷やかす空気。
人気絶頂期と言えど、決してそれは一般的な入りやすさのない世界だった。

【1998年7月】
夏休み初日、やっと念願のTSUTAYAへ。
興味が冷めることなく求め続けた2ヶ月のフラストレーションが溜まりに溜まっていて待望の音源獲得。
『merveilles』はお小遣いを貯めてそのうち買おうと思い
『ヴェル・エール』『au revoir』『月下の夜想曲』『ILLUMINATI』までのシングル4枚をレンタル。

高まる緊張感の中で聴いた『月下の夜想曲』には想像以上の感激があり
「これを求めてたんだよ!!!」と鳥肌を立てて興奮し、思い切り惹き込まれた。
16年以上経った今も、この時の目にしていた視界と感情は鮮明に脳裏に焼き付いている。
壮大な世界を繰り広げる想像力を掻き立てるこの曲は
今までに類を見ない圧倒的な魅力を放つ特別な存在となった。

こうして過去の音源や雑誌を買い漁る日々が始まり
MALICE MIZERという世界にどっぷり浸かることとなったのである。


2015年08月11日

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