Gacktに対しての気持ち


MALICE MIZERに惹かれ、Gacktという人を知った。
別に誰でもよかったが
ただ「好き」という的を作りたくて
人気があるように思えた彼を好きだと称するようになった。
名前も読めず何のパートを担当しているかも知らず。
本当にごくいい加減な始まりだった。

ファンに成り立ての頃は彼らのことを理解したフリをしつつどこか馬鹿にしていた。
納得して惹かれつつも、非日常的な世界は嘘だと思っていた。
コテコテの衣装を着て「私服です」とかあり得ないだろうと(笑)。
好意を抱きながらも信者のような崇拝感情はなく
初めの2ヶ月くらいはただ衝撃に快感を覚え、興味本位で見ていたのかも知れない。

ところがGacktが失踪。
こんなことは自分の中で前代未聞で正直戸惑った。
アーティストというものは常にメディアに存在する物であって
プライベートで関わらない以上、姿を消したと言われても現実味がなかった。
でも次第に不安になってきて「誘拐?」「殺されていたら?」「自殺?」
と嫌な方向にばかり考えてしまって気が気じゃなかった。
なんと言ってもhideちゃんの死を持って知ったマリスの存在だったし。
苦しさともどかしさの中でずっと聴いていたのはマリスの曲。
♪失ったものの大きさをはじめて知った♪
自分には必要な人だと自覚した。

当時コスもしていなければマリスを好きな友達もいなくて
何の情報もなかった私に届いたのは薬局で騒いでいた子からの年賀状。
SHOXXに姿を現したと知って泣きそうな気持ちを抑えて本屋へ急いだ。
家に帰るまで待てなくてその場で全部読んで
嬉しさとほっとしたので立ち読みしながら泣いていた。
「おかえり」

言い方は悪いけど、手に入らないと思うほど欲しくなる心理で貴重感が高まった。
Gacktが失踪したことによって、彼に向ける愛情は大きくなった。
隠さないで何でも話してくれた彼の姿勢にも嬉しさを感じ
どんどん好きな気持ちが増した。
Gacktしか見えてなくて、彼の発言を1番に信じる故にマリスを憎んだ。
マシェリから送られてきたメッセージカードのKamiの言葉に怒りを感じずにはいられなかった。
でもGacktが「今でも愛してる」と言うからその気持ちを抑えるように努めた。
一見一途に見えるが今思うと視野が狭いように感じる。

ある日「新聞に脱退って記事出てたよ」と聞かされ
信じられない気持ちと表しようのない悲しみと悔しさに襲われた。
Gacktが帰ってきたあのSHOXXにも確かにそんな話は出ていたけど
まさか本気でそんなこと考えていると思わなかった。
「僕の目を見れないというメンバーがいてもう僕はどうしようもないじゃない」って言ってたから
「早く目を見てもらえるようになるといいね」なんて手紙まで出したりして活動の再開を待っていたのに。

Gacktは諦めないと思ったから。
Gacktって成し遂げるまで努力する人だって思ってた。
見てもらえないなら、話をしてもらえないなら
それを克服するまで努力をする人だと思ってた。
でもそれは勝手なイメージであって、Gacktも普通の人だった。
傷ついたら逃げたくなるし、嫌な事には目を背けたくなる。
違和感はあったけど、そういうGacktも受け止めてあげようと思った。
「何からも逃げないし、目を背けたりはしないよ」と言う姿勢自体は認めていたし
彼が愛しかったから正直何でも良かった。

Mizerableイベントが始まって、生まれて初めてGacktに会った。
「心配かけてごめんね」という彼の声を聞いて
無事で帰ってきてくれたのだからもういいよ、謝らないでって胸がいっぱいだった。
イベントで間接的にコミュニケーションが取れて感激したのもあってしばらく舞い上がっていた。

でもVanillaが出たときは戸惑いを隠せなかった。
Mizerableでも黒の袖が網になってる服に多少の疑問は抱いていたけど
もうVanillaはどうしようもなかった。
「パステル調は似合わないから絶対着ない」
その「絶対」って何だろうなぁって悲しくなったりしてた。
もうあたしの好きなGacktはいなくなってしまったのかという想いに反し
「僕は何も変わってないよ」というGackt。
その金髪と、そのピアスと、そのラフな「私服」衣装と…
挙げたらキリがない変貌に戸惑うことしか出来なかった。

あの頃のGacktには求めていない衝撃がいっぱいあった。
曲にも衣装にも世界観にも面白味を感じなくなってきて
ライヴに行ってもそこまで楽しくないし、感動もしなかった。
「いい意味での裏切り」という言葉の響きに憧れていたけど
悪い意味での裏切りしか味わえなかったのが現実だった。

Kami君の死を知ってから余計にGacktがいるマリスが恋しくなって
2人のハモリを聴いては「なんで抜けちゃったんだろう」それしか言葉がでなかった。
Gacktがいなくなって、でもまだ戻って来てくれないかなって期待してて
でもKami君が死んでしまったら
例えGacktが帰ってきてももう5人の世界は造れない。
あんなに惹かれて愛したMALICE MIZERはもうどこにも存在しない。
この悔しさと悲しみは誰かを恨まないと耐えられなかった。

MirrorがリリースされてOASISも出て
余裕なく自己アピールをするGacktを受け止めることが出来なくなった。
こっちにも余裕なんてなかったから。
ツクリモノの「マリスでの王子様像」じゃなく、今の素の俺を見てくれと言う彼。
私が求めてたのは王子様だった。
悲劇のヒロインぶって周りに「必ず“感動というカタチ”で答えるから」なんて
こっちの意に添うようなこと言っておいて、結局は自分勝手。

でも惚れた弱みか、自分の理想とか過去を求める気持ちを抑えて折れてみた。
MARSツアーでGacktが苦しんでることを感じて
受け止めてあげなくちゃと砕けた壁が涙を誘った。
求めすぎてごめんね。苦しませてごめんね。

でも「Secret Garden」でやっぱり限界を感じてしまった。
折角安定した気持ちで全部を愛しいと思えていたのに
私の応援の仕方が気に入らないのだと言われたようで。
マリスも、マリス時代のGacktも愛する私じゃ
Gacktは好きになってくれないんだと感じてしまった。
もうこんな苦しいのは嫌だ。さようなら。
大きな未練に引きずられながらも何とか離れていった。
それだけ苦痛しか残っていなかった。

ファンを辞めて数年、メディアで人気者になっている彼を毛嫌いしていた。
「裏切られた」という意識はそう簡単には抜けない。
Gacktのせいでマリスはボロボロになった。
何よりも一生懸命Gacktを愛そうとした私を傷つけたことが許せなかった。
存在を思い出すのも嫌なのにうっとおしい位にテレビや雑誌で目にしてしまう。

でも時が経つに連れ、憎しみも薄れ、少しずつ冷静に観察するようになった。
MOONプロジェクトの一部や、ステージに雨を降らせる演出を知り
ビジュアル系ではないものの、自分の世界を大きく表現していて
見るものを楽しませることに一生懸命な姿は今も変わっていないのだと評価出来た。
そこで改めて、MALICE MIZERにおける彼の偉大さに感服せざるを得なくなり
あたしが好きなMALICE MIZERは
やはりあの5人でしか表現出来ないと思い知らされたようでもあった。

でももうあり得ない絵空事と諦めていたのに急にファンが騒ぎ出した週刊誌。
「今だから明かせるマリスミゼル脱退の真相」
今更用なんてなかった筈だった。
書いてあったこともマリス側からしてみたら迷惑な話だった。
でもマリスに戻るまでのソロ活動だとか言われたら
落ち着いていたつもりの心がぐらぐら揺れた。
悪戯に巻き込まないで。
裏切り者の分際でKamiの名を口にするなんて寒気がするとまで思ったのに
「もしまたGacktのMALICE MIZERを見れるなら」と幸せな想像をしてしまう。
理解不能なMALICE MIZERの活動停止の理由にこじつけたくなってしまう。

私がGacktを憎むのは「MALICE MIZERじゃないから」であって
金髪もカジュアルなスタイルも関係ないことにようやく気付いた。
MALICE MIZERのGacktである日がまた来るのなら
また、字の如くの「夢中」になれるように思ってしまう自分が情けない。
でもGacktは脱退前からずっとマリスを愛してるだの誇りだのと言うけど
マリス側はそれを受け入れてない…今も何も変わらないから無意味だった。

そんな時、偶然昔からのミゼラー友達と飲む機会があって
その子のGacktに対する見解をいっぱい聴かせて貰った。
ミーハーなガックンファンばかりが目立っていたから
Gacktの魅力が分からなくなっていたけど
切なる想いでずっと見ているミゼラーの気持ちを聞いて涙が出た。
Kami君はソロのGacktを認めていたと知ることが出来た。
MOONプロジェクト必見と背中を押され、また見てみようかなと思えた。
あたしの中のGacktという止まっていた時計が動き始めた。

MOONを聴いて、驚くほどすんなりと浸透する言葉に驚いた。
Gacktは優しくなっていた。
もう私に何も求めていなかった。
ただ寂しがっていた。マリスを愛していた。
自分勝手な感情で振り回す「好き」じゃなく
そこには癒しと言える程優しくて暖かい「愛」があった。
嘘でしょう?どうしてこんな優しく包むことが出来るの?
なんでそんなに辛い想いをしてまで愛してくれるの?
まっすぐすぎる誠意に心を打たれて涙が止まらない日々。
私がGacktから離れたのは、もうGacktの腕の中には置いてくれないのだと思ったから。
でも、こんな私でも愛してくれるならまたその腕の中に帰ってきていいのかな。

勝手な解釈をつけて幸せの夢を描く。
物凄く切なくて相変わらず涙が流れる。
でもどんなに辛くても今なら分かり合える気がした。
愛されているというのは最大の武器だから。
あたしの知らない彼の過去に触れてみよう。
あたしの好きな彼の未来を一緒に歩こう。

「ただいま」


2004年01月

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