Mana様に対する気持ち


一目惚れだった。
幼少期から憧れ続けたお姫様の理想像そのものが現実世界に現れたような衝撃。
ビジュアル系メイクへの抵抗を感じる暇もなく
『月下の夜想曲』の豪華絢爛な美しい姿に一瞬で心を掴まれた。
この姿のMana様に出会わなかったら
私はMALICE MIZERの曲をしっかり聴くことはなかったかもしれない。

「人間とは…?」を考えるよう覚醒を促し、私にとっての教育者となる。
答えを与えず、あくまでも自分の心に何かが芽生える手助けとして種を蒔き
覚醒した人を仲間として、更に深みへ導く不思議な世界の入口を用意してくれた。
暗く、マニアックなヲタク趣味の内面に惹かれることはなかったので
強い共感で熱く支持する感覚はなかったけど
核を作ったバンドのリーダーである点では一目置いていた。

クールで高飛車な振る舞いに高貴さを感じてより一層惚れ込み
様付けで呼ぶ風習も手伝って崇拝心を育てられた。
喋らない分の過剰なジェスチャーが動物的で可愛らしく
ファンになった当初はマスコットのように愛でている感覚が強かった。

しかし3期になるとお姫様は姿を消した。
生活しづらそうな奇抜なオートクチュールを期待するも
地味なシルエットとカラフルさを失った配色に落胆するばかりだった。
それが喪服を意味するのだと白衣装展開が始まってから気付いたけれど
どちらにしても物足りなさは拭えなかったと思う。

肝心な曲の読解の楽しみにも世界史などを用いた壮大な世界観は見当たらなくなり
既成概念を壊してくれる楽しみは過去のものとなってゆく。
ビジュアルを好んだだけならばさっさと離れてしまえばよかったのかもしれないが
MALICE MIZERの悲しい歴史がそうはさせなかった。

傷付いてボロボロになっていたMana様。
無表情の仮面の下に涙の跡を見た。
Kamiくんへの想いやマリスを守りたいと語る発言はとても胸に響いて
側に寄り添いたいと思った。
大切に想うものが一致し、それを共に守りたかった。
3期MALICE MIZERはそんな仲間との共存の空間だった。

見ているのが辛いくらい弱っていたMana様はただじっと祈りを捧げていて
誰かが助けてあげなければ今にも壊れてしまいそうな儚さを感じた。
憧れだった存在が支えてあげたいと思う人に変わり
必死でMana様にこの声を届けなければとファンスタイルが一変する。
大丈夫、側に居るからそんなに寂しがらないで。

Moi dix Moisになった途端ビジュアルは黒一色に統一され
中性的な雰囲気を崩さない中でも男らしさの主張が強くなった。
自身のブランドの宣伝の為のロリィタ姿は見せるものの
マリス時代とは一線を画した装いでオートクチュールは完全に過去のものに。
女性らしさを売りにしていた人が急にパンツ姿で足を開いてギターを弾くようになり
随分と遠いところへ連れて来られたような感覚。

何が良くてファンでいるのかますます分からなくなってしまった。
過去に戻りたい。今を生きるのが辛い。
なんでこんなことになったの?
帰って来て…。
Kamiくんの居場所はどうなるの?
MALICE MIZERはどこへ行っちゃったの?
薔薇の聖堂で誓った永遠って何だったの?

そんな不安だらけの疑問にMana様はちゃんと答えてくれた。
1stライヴの後にようやく音源化された1stシングル『Dialogue Symphonie』にこんな歌詞が。
「忘れはしないあの日の約束は この胸に誓いを」
多くを語らないMana様からの熱い訴えだと思った。

音源を聴いてからの1stツアーで、私は人生初のヘドバンをした。
3期マリスでも拳を挙げるという初歩的なところから丁寧にレクチャーがあったけど
ライヴで暴れるという感覚を知らない多くのミゼラーの目線に合わせて
ヘドバンレクチャーがあり「舞い狂え」と指示されたのだ。

物理的にも心理的にも脳みそがシェイクされた。
頭でっかちに考え過ぎていたこと、形式に拘っていたこと、音楽の概念
そんな凝り固まったものが吹っ飛んで行った。
新鮮なライヴの楽しみ方が、ただ面白かった。
久しぶりに音が楽しいという文字の如くの「音楽」に出会った。

その日から「MALICE MIZERのMana様」が形容詞のない「Mana様」に変わった気がする。
警戒心がほぐれ、異常なまでのマリスへの執着心がほんの少し和らいで
目の前にある楽しいことをただ楽しんでみようと思える余裕が生まれた。
周りの友達も同じように感じている人がたくさんいて
リアルタイムを追いかける楽しさにただはしゃぐ光景が少し眩しかった。
苦痛との戦いが常だったのに、素直に今が楽しいと思える新感覚。
そこに必要なのは忠誠心とか想いの深さじゃなかった。

Moi dix Moisでやりたいビジョンの提示が一段落ついた頃の2ndアルバムリリース。
『monophobia』はKamiに捧げる曲だと説明があった。
海外のインタビューでマリス再結成の可能性を漏らした。
事件だ。
もっと詳しく知りたくて必死に歌詞の読解に夢中になった。
『Vestige』の歌声がGacktさんにそっくりで
改めてMana様はあの声に強く惹かれていたのだと確信したのもあり
少し落ち着き始めていた筈のマリス復活願望が急激に膨らんだ。

この時期私はアンチGacktを卒業し
変わることのないマリスへの愛とミゼラーへの想いに強く胸を打たれていた。
彼の想いが届くようにと切実に願うあまり
その矛先をMana様に向けて考えるようになっていった。
Mana様さえ受け入れてくれたらこの涙は報われるのに
なんで素直に「また一緒にやろう」って言ってくれないの?

そんなもどかしさに加えてMana様の興味が海外のファンへ向いていることへの嫉妬が起こる。
大人しい日本人と比較して感情のまま求めてくるファンらしさにお喜びでライヴも海外ばかり。
悔しくて拗ねたりしているうちに、熱意を持って追いかける楽しさを見失って離れてしまった。
肩を持つようにGacktさんの想いに耳を傾けながら
再び過去への執着心を燃やし、漠然とした4期マリスを夢見るスタンスに戻る。

「MALICE MIZERのMana様」への憧れや好意は揺らぐことはないものの
今も現実世界に生きている「Mana様」に感じる後ろめたさ。
時々曲を聴いてはライヴに行く自分を想像するも、その扉を開く勢いはなかった。
しかしマリスメンバーによるマリスセッションという歴史の変革が起こり
そのついでに久しぶりに見ることになる。

当時の感覚を覚えている身体が自然と動き、楽しさを思い出す。
たまにはまた行こうかなと思い、少しずつリアルタイムの情報収集を再開。
ライヴの回数を重ね、離れていた間の曲を覚え始めたら
あっという間に熱意が戻り、楽しくて仕方なくなっていた。
離れている間の経験で変わった価値観や感性もあったが
現在のメンバーたちの表現力に心底惹かれ、バンドそのものの魅力を強く感じた。

Mana様の創り出す世界の美しさに心が痺れた。
ホルマリン漬けの脳のように、モワディスの曲が私に染み込んで生かされるような感覚。
今までに感じたことのないレベルの悦楽だった。
離れていたことによる罪悪感はあれど
この世界に戻ってこれた喜びはそれを遥かに上回っていた。

そんな絶頂のテンションで迎えた2014年のBDライヴは
感激のあまり何度も失神しそうになる程の興奮だったが、本当にそこがピークだった。
突然のKさんの訃報により、再び手放しではしゃぐような世界ではなくなってしまう。
あまりに残酷。
Mana様の心理状態が心配でならなかった。

もうMana様は音楽を辞めてファンの前に現れなくなってしまうんじゃないかと思った。
Moi dix Moisを続けると宣言してくれて、どれだけ安心したことか。
誰もがネット環境にある現代ならではのリアルタイムなリアクションの往復が実現し
お互いを支え合う言葉が交わされた。
本当に同じ時代を生きているのだと実感した。
大切な人を失った痛みは物凄く物凄く大きかったけど
Mana様が側に居てくれたし、私もMana様の側に居るのだと思えた。

Mana様はKamiくんの時のような脆さを見せなかった。
力強く、たくましく、そしてとても優しく穏やかにファンを包んでくれた。
「守らなきゃ」という追い詰められた使命感よりも「守りたい」という意欲を感じた。
ファンの手を引くために飲み込んだ嘆きの言葉の数々を察して胸が苦しくなったけど
Mana様の願いが私たちの癒しなら、まずは元気になる努力をしようと思った。
Mana様に笑顔を届けたい。
使命感より意欲を持つってとても難しいけど、蹲って泣くのだけは嫌だ。

ファンを笑顔にさせる為の特別仕様なライヴ、皆が大好きなマリス時代の話。
Mana様のことは大好きなのにMana様に触れるのがつらいと感じていた私も
自然とそこへ手を伸ばしたくなるようなキラキラしたものを用意してくれることが増えた。
ストレートに想いをぶつけるのではなく
どうしたら乗り越えていけるのかを物凄く一生懸命考えてくれたのだと思う。
何の試練か、この絶望は2度目だもの。

そして、リリースやライヴがなくてもMana様はMALICE MIZERのリーダーなんだと感じる。
Mana様自身本当にマリスを大切に想っていて、世の中に提示したい想いも強いからこそ
未公開のものを出してくれたり思い出を語ってくれるんだろうな。
自分の支持するものの頂点にいる方がMana様で良かったと心底思う。
Mana様がいるからMALICE MIZERが成り立って
MALICE MIZERが今も生きているのだと実感出来る。

今、Mana様と同じ時を生きていられることが本当に嬉しい。
その喜びをもっともっと届けたい。


2015年08月17日

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